コンピューター(ECU) 💻

2025年12月03日

トラックに搭載されている各種制御装置の総称で、
エンジン・ミッション・排ガス・安全装備などを電子的に管理する“頭脳” のこと。
乗用車よりも制御が多く、ECUの種類も多いのが特徴。

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🧠 トラックの主なコンピューターの種類
大きく分けると以下の通り👇

1️⃣ エンジンECU(Engine Control Unit)
トラックの心臓ともいえるコンピューター。
管理しているもの↓↓↓
●燃料噴射量
●噴射タイミング
●過給圧(ターボ制御)
●アイドリング回転
●EGRの開閉
●尿素SCR制御(排ガス)
●吸排気温度管理
●故障検知(DTC)
 → エンジン性能・燃費・排ガスすべてをここで制御。

2️⃣ トランスミッションECU(MT系/AT系)
AMT(プロシフト・シンクロメッシュAMT・いすゞスムーサー)などは
ミッション制御が必須なので専用ECUが存在。
機能↓↓↓
●ギアシフトタイミング
●クラッチ接続制御
●トルクリミット管理
●坂道発進サポート
●異常検知(クラッチ摩耗など)
 → 人が操作しなくても最適に変速できるように制御。

3️⃣ ABS/ASR ECU
ブレーキ系の制御。
●タイヤロック防止(ABS)
●空転防止(ATC/ASR)
●制動時の油圧調整
●大型はエアブレーキのため、ECUは圧力センサー・回転センサーを常時監視。

4️⃣ VSC(横滑り防止装置)ECU
重量が重いトラックは転倒リスクが高いため、
VSCは乗用車より重要。
●横転予測制御
●エンジントルク抑制
●ブレーキ個別制御
●空荷/満載の挙動補正
●大型車はABS ECUと一体のことも多い。

5️⃣ 排ガス関連ECU(DPR/DPF、尿素SCR)
近年のトラックで最重要。
制御内容↓↓↓
●DPFの再生(温度管理)
●尿素噴射量の管理
●NOxセンサー監視
●温度・圧力センサー監視
●異常時の出力制限モード(ディレーティング)
 → 排ガス規制が厳しいため、センサー数も多く複雑。

6️⃣ ボディコントロールECU(BCM)
車体の電装系統を管理。
例↓↓↓
●ライト
●ウインカー
●ワイパー
●ドアロック
●PTO連動
●アイドリング制御
●外部架装との連携(冷凍機/ゲート 等)

大型は架装が多いため、架装メーカーとBCM連携が必須。

7️⃣ メーターECU
メーター内部にも制御基板があり、
●速度
●回転数
●シフト位置
●尿素残量
●警告灯
●通信制御(CAN)
を処理している。

8️⃣ ADAS関係(運転支援)ECU
近年急増。
●衝突軽減ブレーキ
●ふらつき警報
●レーンアシスト
●レーダークルーズ(ACC)
●カメラ・ミリ波レーダー制御
これらも独立または統合ECUで管理。

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🔌 トラックECUの通信方式(CAN通信)
トラックは大型の電装品が多いため、複数のECUがネットワークでつながっている。
●CAN通信(J1939):大型車で標準
●ISO CAN(OBD系):小型・中型
●LIN通信:局所ユニット用
●ECU同士がデータをやり取りして動作する。

例↓↓↓
アクセルON → エンジンECU → AT ECU → DPF管理 → VSC ECU へ情報送信

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🔧 トラックECUの特徴(乗用車との違い)
1️⃣ ECUが多く搭載される
大型トラックは
20個以上のECUがあることも珍しくない。

2️⃣ 排ガス制御が非常に複雑
DPR/DPF/尿素SCRなど、制御項目が乗用車よりはるかに多い。

3️⃣ 架装機器(冷凍・ゲートなど)との連携が必要
荷台の装置と車両ECUが連動するため、設定が多い。

4️⃣ ディレーティング(出力制限モード)が存在
排ガス異常などで、強制的に
時速20〜60km/hの制限がかかることがある。

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📍 ECUの故障で起こる症状

例↓↓↓
●エンジンがかからない
●変速しない・クラッチ滑り警告
●ABSランプ点灯
●DPF再生不可能
●出力制限発生
●加速しない
●メーター表示異常

原因の多くは
「センサー異常」「配線」「アース不良」「CAN通信断」など。